| 演 目 棲 家 観劇日時/08.4.19. 劇団名/劇団 北芸 公演回数/道内3都市連続公演 北海道演劇財団・NPO法人TPSくらぶ 作/太田省吾 演出/加藤直樹 音響・照明/佐藤徳子 美術/加藤直樹 衣装/森田啓子 制作/小高律夫 札幌公演 照明設営/相馬寛之 舞台美術/上田知 制作協力/筒井貴子 出演/老人=加藤直樹 亡妻=森田啓子 娘・信子=山谷真悠(客演) 劇場名/シアターZOO |
| 人生の黄昏に生きる小さなある存在 この舞台を北見で観た時は、客席の外のスタッフの雑音と客席の非常識な雑音が酷くて集中できなかったが、さすがにこの劇場は落ち着いて内容に合った良い環境であった。 長年、暮らした我が家の廃墟に深夜佇む老人……来し方の追憶は、死を目前にしたこの老人の我が人生への後悔と諦めと、それでも自分なりの満足感を容認しようとすることとの、矛盾と相克の述懐である。 これは観ている僕の、年齢的にも人生経験の実在とも余りにも重なり過ぎ、身につまされる現実であって辛く切ない、他人事ではないのだ。 亡妻の幽霊が出ると、老人は過去と現実が交錯して、亡妻との関係を改めて考え直そうとする。だが妻は現実的だ。当然二人の意思は噛み合わない。これがかつての二人の現実でもあった。老人が拘ろうとしても妻に外される。だが必死に縋るとする老人。 トイレにいったん去るとする妻、着いて行こうとする老人に振りむいた妻は、般若の物凄い表情を見せる。怯む老人……茫然と佇む老人に、遠くから老人を探して声を掛ける娘の信子。彼女は隣地にすでに新しい住まいを新築中であるらしい。直接に会話には出てこないが、背景の一部に建築業者の大きなビニール・シートが見えるのが多分そうであろうことを想像させる。 我に返った老人は、すでに娘に寄りかからなければ生きては行けない存在なのか? 正に末期老人の現実的なあり方が悲哀をもって存在し、追い立てられるような一時間であった。 |