| 2008年11月 演 目 いつか見る青い空 観劇日時/08.11.24. 劇団名/弘前劇場 公演回数/文化庁芸術創造活動重点支援事業 作・演出/長谷川孝治 舞台監督/野村眞仁 照明/中村昭一郎 音響/原島正治 舞台美術/鈴木徳人 宣伝美術/デザイン工房エスパス 制作/弘前劇場 助成/文化庁 劇場名/シアターZOO |
| 日常から浮かび上がったもの 何気ない日常を淡々と描くのが得意な弘前劇場が今回は何か異常な背景を持った日常を描く。 発端、薄暗い寺の一室で中年男が若い男に襲われて、素手で刃を掴むシーンから始まる。中年男・近藤佳久(=福士賢治)は、この寺の放浪する住職(登場せず)の兄であり、三人姉妹(建築家・留美=小笠原真理子、新聞記者・恵美=木村元香、大学講師・平塚麻似子)の伯父である。 そこに集まる壇家や参禅の人達……警察官(=柴山大樹)とヤクザ(=田邊克彦)は大学の同期生だがこの大人しく礼儀正しいヤクザと警察官は何か対立しているらしい。トップシーンの加害者は恩のある住職を殺害しようとしたヤクザのかつての仕業であるらしい。 集まった人達、檀家代表のりんご農家(=長谷川等)、副代表の魚屋(=永井浩仁)とその妻(=濱野有希)、大学院生(=平間宏忠)たちの、他愛ないような話は、生と死に関係する高尚な話題が多い。 最後に伯父は、飛びこんで来たヤクザに刺されて殺されるのだが、この冒頭とラストの二つの似たようなシーンの意味する背景、つまり伯父とヤクザの因縁と、三姉妹の父親とその兄つまりこの伯父、そして警察官とヤクザとの背後にある関係が分からないので感情移入が難しく、隔靴掻痒の感が強い。 だが、それを説明する必要はないのかもしれない。それぞれ観た人が想像すれば良いのかもしれない。舞台で演じられる表面の人物たちの抱えるマグマが感じられれば良いのかもしれない。確かにそれは感じられた。 作者は、地域俳優の演技は簡単にいうと生活そのものであると言う。それを観察して作者の物語と俳優の持つ物語を摺り合わせる作業だという。だから宛て書きのような何時も同じ俳優が同じような役柄を演じる。それが地域俳優のリアリティであり、器用に役を演じ分けることではないという。 「いつか見る青いそら」というタイトルは、この人たちの見果てぬ希望の象徴なのであろうか? |