VS・KYOTO
観劇日時/10.9.11.
舞台監督/高橋詳幸 照明/相馬寛之 音響/大江芳樹
宣伝美術/本間いずみ 制作/小室明子
劇場名/札幌・琴似・コンカリーニョ

コンカリーニョが京都の2劇団を招聘して、札幌の2劇団と競演するという
企画である。1作品1時間制限という短編ではあるけれども、さすがに一日
に4編の作品を観ると昼食も満足に摂れず、食べる事の好きな僕としてはさ
すがに少々疲れたのだが、その報告……

演目1  ライク・ア・ハリケーン

劇団名/弦巻楽団
作・演出/弦巻啓太 
出演/長麻美・藤谷真由美・橋本久美子・森田早桜・茅原一岳・丸山将・
高山龍・棚田満・楽太朗・弦巻啓太
恋の妄想、あるいは悲哀の恋
男子高校の演劇部が「ロミオとジュリエット」を上演することになった。そも
そもこの設定に無理があるのだが、この芝居はその前提条件を無視して突っ走
る。そもそも芝居とは無理な条件設定でも成り立つかどうかが勝負だともいえ
る。
男同士でのラブシーンがどうしても出来ないので、一計を案じ、女役の人は女
子高校生に扮装する。ところが、ここで女装したしたはずの男の役者を女優が
演じるので、男と女が交錯して混乱する。
ロミオ役は相手が女子なので混乱するが、男だと思い込んでいるから相変わら
ずラブシーンが出来ない。
この話に教師や先輩が絡んで、ナンセンス・ストーリィが展開する。男の夢想
する恋と夢想せざるを得ないのが可笑しくも哀しい。 
プロローグとエピローグで、その高校生の男が実は女装した男であるはずの女
子高生と50年間連れ添ったあげくに、今日亡くなった経緯を我が息子に語る。
複雑で、あり得ない展開で訳が分からない顛末なのだが、滑稽な悲哀でもある。


演目2  黒い紙と3つの箱

劇団名/ユニット美人
作・演出/ユニット美人
出演/黒木洋子・紙本明子 制作/福原加奈
際限のないコントの連続
「ユニット美人」というこの劇団? 集団? の実状をそのままコントにしたよ
うな展開。「ユニット美人」がvs・KYOTOに出演する経過を縦糸に、3つ
の箱を選択するといういくつかのエピソードを横糸に絡めて話は進められる。
ほとんどナンセンスな言動がテンポ良くスピーディに切れ味良くエネルギッシュ
に展開され、余計なことを考えている暇もなく、ただ呆れて呆然と薄ら笑いが
絶えない感じで、客席は爆笑・哄笑である。これは一体何なのであろう?
演劇と言うには軽すぎて中身が分からないのだが、何か知的な「お笑い」とで
も言うような存在であろうか? そもそも「お笑い」って何だろう? という疑
問が浮かび上がる。


演目3  サルマタンX VS ドクター・ベン こだわりすぎた男たち

劇団名/ニットキャップシアター
作・演出/ごまのはえ  音響/三橋琢
出演/澤村喜一郎・ごまのはえ・門脇俊輔・高原綾子・
市川愛里・藤田かもめ・織田圭祐。
なぜ隠すのだろう
全編「うんこ」である。そもそも「うんこ」とは何のメタフアーなのか? 
「うんこ」が出ない。我慢させる、不可能なのを承知で人に移すなどの行為は、
いろんな比喩が考えられるのに、人は成長するにつれてこの話題を人前に出さ
ないようにしたがる。

以下『風化』127号02年1月「観劇片々」より一部抜粋して紹介
     ☆
なぜ人は馬鹿話や下ネタ話が好きなんだろう。子供は特にそういう話が大好き
である。大人だってホンとは好きなんだ。理性が邪魔して遠慮してるだけで、
遠慮のない子供たちは素直に喜ぶのだ。だから酔っ払って理性が減るとすぐ下
ネタ話になる。
人間は生きていくためにさまざまな抑圧があり、今風にいえばストレスとの戦
いの中で生きていかざるを得ない。もっと昔は生きていくこと自体が大変で、
毎日毎日をどうやって生きていこうかということの連続であったと思う。そう
いう日々の中では、突飛なナンセンス話で笑い飛ばすのが心情回復のために一
番効果的であったのではないのか。そして下ネタは健康でなければ受付にくい。
心身が健康であることのバロメーターともなり、健康を損なっている人々の回
復剤ともなるだろう。
     ☆
「うんこ」は生きる為には絶対に必要なことであるのに、普通は絶対に隠した
がるが、この舞台では恥も外聞もなく、「うんこ」に託された何物かを大真面
目に必死に拘る、いや拘りすぎる。その結果、「うんこ」一辺倒を通す。
生きるために必要最低限の、食べて排出することをなぜ隠すのかとも問われて
いるのだ。食べることにはプラス志向があるが出すことにはマイナス志向があ
るというのだろうか?


演目4  真人間生活

劇団名/intro
作・演出/イトウワカナ 音響/橋本一生 美術/川ア舞
衣裳/中原奈緒美 演出助手/竹原圭一
女の一生
一人の女が産まれてから75歳になるまでの編年歴。周りの人たちを7人が交代
で演じるが、これは先日『TBGS』が上演した「117」に酷似している。
「117」は表現方法が斬新であったが、内容は単なる一人の男の一生だった
のだが、これは女の一生で同じことだ。
舞台の周りをたくさんの額縁で飾り込み、その額縁には様々な衣装が彩りも鮮
やかに吊されている。その女性の成長に従って、その衣装が一枚づつ着せられ
る。
周りの人々もその都度、その衣装に着替える。小道具は周りの人たちが、その
都度、取って渡す。つまり非常に様式的なのだ。
その他の人物は登場しないとき、その周りの額縁の前で、舞台を取り囲んだよ
うな位置に座って待機する。
それらの表現法は、人生も狭い舞台の中で、周りの人々に囲まれて生きている
ということを演劇的方法で描き出したことなのであろう。

出演者は、田中佐保子・大高一郎・菜摘あかね・のしろゆう子・奈良有希子・
佐藤剛・今井香織・宮澤りえ蔵。