世界は嘘で出来ている

観劇日時/14.10.27. 19:30~21:20
劇団名/ONEOR8

作・演出/田村孝裕 舞台監督/古屋治男・関口敦史・塙育大
美術/稲田美智子 照明/伊藤孝 照明OP/小沢葉月 
音響/今西工 衣装/冨成友子 ヘアメイク/小嶋博美 
演出助手/河口高志 
宣伝写真/引地信彦 宣伝美術/桑山慧人・美香 
制作協力/田中浩補
票券管理/堀内淳 制作助手/矢島緋名子・鈴木江梨子 
制作/江口紀子 企画・制作/ONEOR8

劇場名/東京・下北沢 ザ・スズナリ

善意の嘘が世の中の絆を保っている

 『世界は嘘で出来ている』というタイトルを、この舞台を観た後で言い直すときっと上記のような一言で言い直せるのではないかと思う。
 風俗営業で家庭を支えていた母親(=異儀田夏葉)と、その幼い息子兄弟との母子家庭の弟・孝行(=恩田隆一)は、母の仕事に関して苛められていると嘘を吐いていた。兄・滝口(=甲本雅裕)は、母思い・弟思いの正義漢で苛めたというガキどもを連れ帰り謝らせようとする。
 長じて兄弟は上京したが、弟・孝行は引きこもり、兄・滝口は、より収入の多い死後整理の清掃会社を設立し仕事は軌道に乗る。だが孝行は逆にますます引きこもるが、「友人たちと介護士の資格を勉強している」と、おそらく詭弁を使う。だが兄は信じて単純に喜ぶ。
 孝行は麻衣子(=浅野千鶴)という恋人の部屋に転がり込んでいるが、些細な口論で麻衣子が外出した隙に自殺する。
 職業として孝行の居た麻衣子の部屋で遺品の整理をする兄とその部下たち。そこには麻衣子や孝行たちの様々な善意の嘘が込められていた。兄も故郷の母に電話で嘘の報告をするのがラストシーンだった。
 こういう物語を、一つの部屋で次々と時間も過去から現在へと目まぐるしく展開しながら、しかも軽快に満場の微笑・哄笑を誘い出して、最後にしっくりと泣かせ、しかも弱者の立場に共感する社会性の強いエンタートメントな舞台であった。