LONELY ACTOR PROJECT

公演回数/VOL.22
企画・制作/演劇専用小劇場・札幌演劇人育成委員会

プロデューサー/和田研一
照明/山本雄飛・和田研一 音響/奥村純央・青栁卓実
映像/上田龍成・八十嶋悠介
フライヤーデザイン/山田マサル 
主題歌「ひとりぼっち」/あらいふとし

劇場名/BLOCH

演目1  にせんねん女子高生 

原案/寺地ユイ 脚本/里美ユリヲ 演出/鎌塚慎平 出演/寺地ユイ

ある日、登校した女子高生チアキは唯一の友人だと思っていたカズミに、憧れの上級生との三角関係を知らされる。二人はずっと閉店されていた喫茶店に入り、その話をする。その店では奇妙な老婆が対応してくれる。
失意で帰宅すると、両親は二千年の未来から現在にタイムスリップのハネムーンに来てチアキが誕生し、そろそろ未来へ戻ると言う。一気に押し寄せる異常事態に混乱するチアキ。夢かも知れない、でも勇気をもってすべてを乗り越えて行く覚悟はあるのか。昔、閉鎖された喫茶店は、未来への予兆かもしれないと思い当たる。
無駄で無理なオーバーアクションの多いのが気になるが、相手の存在を想像させる演技のやり方は説得力がある。一人芝居の原点であろう。

  演目2  クライマー麻奈実実験劇場~season2

脚本・演出/クライマー麻奈実

道化風メークの女が兵士姿で闘う意義を主張する。自分の愛する人が殺されたから復讐するのだ。だが復讐して殺された相手の愛する人は、どう思うんだろう? と自問自答。ギターを抱えて再登場、平和賛歌の唄を歌う。
全編、自問自答の語り芸だが、直接的なメッセージはフォーク調で分かり易い。

演目3  犬になりたい 

脚本/岡田萌 演出/浦竜也 出演/忍遥香

生きているのが面倒臭くなったJKに突然、飼い犬のポン太が話しかけてきた。ビックリすると同時に、「犬になれたんだ!」と大喜びをするJK。だがポン太は「飼い主はペットの世話をする以上は最後まで面倒をみる責任がある」と諭す。JKは我に返って強く生きる決心をする。
犬を片手遣いの人形で現わし、腹話術で演技する犬の台詞のときに自分の口も動くのだけど、自分と犬との会話の使い分けが的確なので全く違和感がない。教訓じみた話の底は浅いが一応楽しめた。

演目4  アンクル・メジャー・コード 

脚本・演出/ツマサキ舞台 出演/野村大

何かを測ることに天才的な技能を持つ男。だが高校生の我が娘とは全く会話がない。その娘が10㌔マラソンに出場するのを知った父親は、密かに応援に来た。実はこのコースは彼が計測したのだ。そのときイタリアから来た留学生の若い男に出会う。この若い男は日本で親しくなった女性がこのレースで自己最高記録を出したら正式に交際する約束だと言う。
その若い男の質問はコースの誤差だった。ルールの詳細を知らなかった父は距離に0.01%以上の不足があると記録は未公認になると聞いて急に不安になる。発走30分前に計測のやり直しをするが、ゴール1.8㍍前で力尽きて倒れる。だが自分の身長がちょうど1.8㍍なので頭の部分がゴールラインちょうどだったので危ふくギリギリでセーフだった。イタリア男は娘の相手だった、という落ち。娘に対する父親の秘めた愛情の物語。
実際には歩測でルールも知らされずに決めた距離が公認されることは、あり得ないと思うのだが、この舞台を観ていると何となく納得させられる。一人で喋るだけで、相手の言葉をオウム返しにしてから返事をするのだが、ただの繰り返しじゃなく相手の言葉の要点を確認するように言うから、いかにも会話をしているような現実感がある。技術的には一人芝居として完成度の高い舞台であった。