狼王ロボ  
劇団名/劇団 千年王國     公演形態/札幌演劇シーズン2017―冬 参加作品 原作/アーネスト・T・シートン   脚本・演出/櫻井幸絵  作曲/福井岳郎・さとうしほ   振付/井川真裕美・鈴木明倫  舞台美術/高村由紀子      照明/秋野良太    音響/大江芳樹         衣装/松下奈未  小道具/中川有子・劇団千年王國 舞台監督/佐々木祐也  衣装進行/徳村あらき      宣伝美術/若林瑞沙   字幕翻訳/横尾美穂(英語)・エン・ゲイ(中国語)  字幕製作/木村典子  制作協力/山口祐佳  制作/劇団千年王國 劇場名/道民活動センター かでる2・7 かでるホール

パワーアップした刮目の舞台

11年11月にサンピアザ劇場でこの舞台の初演を観ている。12年3月刊の『続・観劇片々』第35号に所載の「大自然と人間の文明」と題したその観劇記から一部を抜粋・要約してご紹介します。

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前世紀の終わりころ、アメリカ西部の開拓地では、ロボ王と呼ばれる狼が2匹のオオカミと妻のブランカを従えて牧場荒らしをしていた。
どんな駆除にもめげないロボに困った牧場主と妻は、そのころ狼の生態に詳しい知識を持っていた博物学者のシートンにこの狼の群れ退治依頼する。
シートンの指導のもと、彼らは様々な方法を用いて狼の群れを退治しようとするが、ロボは悪魔的な頭脳と強い行動力をもって絶対に捕まらず、牧場荒らしを続ける。
あるときシートンは、ロボの指示に従わない小さな足跡を見つけ、それがロボの妻のブランカであることを推察、ブランカを捕獲し、その復讐に来た乱心のロボを退治する。シートンは、この二匹の究極の愛情を感じて、自分の行ったことの是非に疑問を感じる。
動物も大自然もあるがままの姿が本来の姿であって、人間の都合で、その存在を左右することが許されるのだろうかという根源的な疑問である。
狼を演じる四人のダンサーと、村人たちや様々な動物たちを目まぐるしく演じ分ける3人の演技者たち、そして3人のミユージシャンたちの奏でる澄んだ音楽で展開する一大絵巻。
狼たちは遠く近く吠える声以外は一切声を出さず、激しくアクロバティックなダンスで野獣の存在を魅せる。規模はおそらく百分の一くらいの小ささだが、内容も表現力も共に、かの『ライオンキング』を凌駕するほどの刺激的・魅力的な舞台である。

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今回、強く感じたのはダンスのパワーアップだった。前回ももちろんダンスの切れ味とパワーの魅力は素晴らしかったのだけれども今度は合計10人のダンサーの魅せ場がより多く大きく強くあったような気がする。
ロボの愛するブランカが人間の造った仕掛けの魅力に負けて死んだ後のロボの脱力やシートンとの友情とも見紛う奇妙な交流はまるで人間同士のようないわゆる人間味を感じる。シートンも、この関係に何かを見つけて、このようなフイクションというか一種の神話を創ったのだと思う。まさにこの物語は神話である。
一つ疑問だったのは、餌で罠を仕掛けるとき、それほどまでと思うほど人間の匂いや鉄製器の匂いを細心の注意を持って扱ったのに、最後に狂気のロボを仕留める罠を仕掛けるときには無造作だったことである。もうロボは正気を失っているからその必要はないのだろうか? それともこの罠は最後にロボを捕獲する時ではなく、ブランカを仕留める時だったか? 観ている時は確かに違和感があったのだが……

出演者/狼王ロボ=鈴木明倫  ブランカ=工藤香織
    ジャイアント=加藤正太郎 ジェイ=本田大河   イエロー=櫻井ヒロ
    動物学者シートン=森崎博之
    土地の人4役=彦素由幸   同じく4役=榮田佳子
    同じく4役 =西村翔太    同じく4役=阿部文香
    アンサンブルダンサー=
       越田莉彩子・渡邊絵・小笠原早紀・杉森千文・坂本菜々子

音楽演奏 ケーナ・チャランゴ・他=福井岳郎
     ピアノ=有本紀   パーカッション=小山内嵩貴